2006年11月08日

長い長いハロウィンの夜明け

…眠い。今俺は非常に眠い。そして機嫌が悪い。

くそっ、何だってこんな事になるんだ。
どうして徹夜した挙句に部屋の掃除&片付けをしなきゃいけないんだよ。


部屋で雑誌を眺めていたら何か館内放送で(こんなのあったのか?)
虎鉄さんが何か言ってるのが聞こえたけどあんまり気にしてなかったんだが

…悲鳴が聞こえた気がして部屋の外へ出た。

あぁ、あれは間違いだったんだろうか。。。





俺が廊下に出ると、ちょうど天野の部屋の前あたりに人影があった。
見慣れないコートに派手な覆面の男、どう見ても不審人物だ。

そう、しかも悲鳴を聞いた後だ。

天野の部屋の前に立つ不審人物に、俺は咄嗟に先輩の身を案じた。
これは何かあったに違いない、もしかするとさっきの悲鳴も天野か?!
とりあえず、他の皆の為にも不審者は見過ごせるわけがないだろう。

だが、ここは寮内だ。イグニッションするわけにはいかない…
万一何かあっては、せっかく見つけた居場所がなくなってしまう…


「てめぇ先輩に何しやがったんだっ!」
俺は持ち前の運動能力で一気に間合いを詰め、覆面男の腹に拳を繰り出した。
ところが異様なまでの身のこなしで男は俺の攻撃を全てかわしやがった。


「フハハハハ!甘い、甘いぞ少年っ!!」
仮面の男そう高々と宣言したかと思うと、急に様子が変わった。
避けてばかりだった男が奇声を発しながら俺に突進してくるっ?!

「ヒャッハー!久しぶりの娑婆だぜぇ!!ケヒャヒャー!!」

そして、不覚にも俺の意識はそこで途絶えた…。



気が付くと鋼さんが俺を助け起こしてくれていた。
どうやら仮面の男にやられて気を失っていたようだ。

「…ぁ、鋼さんが助けてくれたんですね。ありがとうございます。」
「よかった、気がつかれたのですね。」
「ところで天野見てませんか?俺を襲った仮面男が先輩の部屋から出てきたんだ!」
「ナツさんは見てませんが・・・。そういえば窓が割れてました。もしかしてそこから落ちたのかもしれません。」


そう言って階下へと降りていく鋼さんの姿が、ふと兄の面影に重なった。
さして似ているわけでもないその背中が、何故か懐かしく見えたんだ。
自分でも何が何だか分からなくなって過去と現実が真と虚が混ざる。
そうして、しばらく呆然としてしまって俺は動けないでいた。



下の階から大きな物音が聞こえ、我に返った俺も下へと向かう事にした。
音の出所へと向かうようにしていたら、1階の大食堂に辿り着いた。
夕食の時間は過ぎているのに、仲からは話し声や食器のぶつかる音がする。

その時ひときわ大きな音、どうやら食器が割れたようだ。
俺は何気なく扉を開け、中に居るであろう部員達に声をかけた。


「さっきから騒がしいけど皆は大丈夫か…」
「誰か助けてにぎゃぁぁ」
「って悲鳴?!美桜が物陰に連れ込まれたっ?!」

悲鳴の方に素早く視線を向けると物陰に美桜が引きずりこまれていった。
さっき俺が見た仮面の男が犯人だったとしたら…美桜が危ない!
今度こそ俺が捕らえてやる。仮面の男よ、覚悟しろっ!


テーブルに手をついて一気に飛び越え、椅子を蹴り飛ばして通路を確保。
美桜が消えた物陰に最短距離で辿り着いた俺は、まず美桜を助けおこす。

「柏木っ大丈夫か?!」
「ゲホッ・・ゲホッ、紅月さんありがとう。」
「くっ…ヤツはもう逃げたのか…一体何が目的だ?!」
「あの影、一人は寂しいから一緒に遊ぼう・・仲間になってとか言われた」


一通り美桜の回復を待っている間、俺は仮面の男について考えていた。
何かがおかしい、俺の中の小さな違和感が警鐘を鳴らしている。



何が…この寮に一体何が起きているんだ?
俺が見た仮面の男は本当に侵入者だったのか?
美桜を襲ったのは彼女曰く「影」だとか…
俺は駆けつけた時には袋小路から忽然と姿を消した影…

何だ?何かがおかしい…何が?俺が?いや、そんな事は…



そうこうしているうちに美桜は蒼夜のもとへと助けに駆け寄っていった。
それすらも気付かないまま…必死に正解を導き出そうと考えていた。


そして、気が付けば食堂の窓には朝日が輝いていた。
「んっ…眩しいってことはもう朝なのか。はっ!?あの仮面男はどうなった?!」

まず俺が考えたのは、あの仮面の男と天野のことだった。
そして、知らず見回していた大食堂の中で天野の姿を見つけ、ホッとした。
そのコート姿に記憶のどこかがチリリと音を立てたかもしれない。
しかし、安堵と疲労によって沸き起こった急激な睡魔に襲われた俺は…
部屋に帰ってまず眠る事に決めた。早く寝たい。



が、その俺のささやかな願いは聞き入れられる事は無かった。

自室は扉が開け放たれ、クローゼットも開き、ゴミ箱は倒れ…
読みかけでデスクに置いていた雑誌や本やクローゼットの衣類が…
地震が起きてもこうはならないだろうというほどに散乱していた。


その部屋のただ中に、レイヤがぼけーっと突っ立っていた。


「てめぇっ!人の部屋で何しやがった!」
「わっ…紅月!ボクじゃないってば!勝手に物が飛んでたんだよ!」
「んなわけあるかー!これじゃ寝れないだろうが!片付けて行きやがれ!」
「えぇー、ボクは部屋で白雪が待ってるのに〜…」
「さっさと片付ければ早く帰れるんだからキリキリ働け!」
「うっわ〜…紅月って…(ぶつぶつ」



もう真相とかどうでもいい…早く部屋を片付けて寝たい…

あぁ…目蓋が…重い……もぅ、眠い……


posted by 紅月 光也 at 03:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 寮つき手芸部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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